福島県郡山キャンパスキャンパスブログ ブログ 2025.11.05 リュック一つに全部をつめて、どんなに重たくても「安心」を背負う高校生の考えとコーチの気付き。
https://www.ktc-school.com/reserve/?kubun=2&event=001&campus=1111/reserve/?kubun=3&event=002&campus=11みなさん、こんにちは。おおぞら高校 郡山キャンパスです。
先日、中学3年生に出願前の説明会を開催しました。入学したいと思う高校が見つかると、同級生がどんな生徒になるのか気になるように、どんな先輩がいるのかも気になりますよね。そこで今年入学した1年次生を紹介したいと思います。
1年次生のHさんとは、毎朝登校簿の前で「おはよう」の挨拶で一日がスタートします。その姿は、誰もが一度は振り返るほど印象的です。背中には大きなリュック、見た目からしてかなりの重さです。ある日、その重そうなリュックについてコーチが触れてみました。
「Hさん、そのリュック、とても重そうだね」
にこっと笑った彼女の答えは、予想を超えるものでした。
「はい、だいたい30キロ近く(本人の感覚)あります、何かあった時に困るのが嫌なんです」
彼女は少し恥ずかしそうに、けれどはっきりとした口調で話してくれました。
「中学生の時に、教科書を家の中で見失ってしまったことがあって、とても焦りました。それで、全部リュックに入れておけばなくならないし、何かあった時にも困らないかなって思ったんです」
彼女にとってリュックは、単なる荷物ではなく「安心を運ぶ場所」なのです。
リュックの中には、全教科の教科書とノート、50枚のクリアファイルをまとめたポーチ、折りたたみ傘が2本、お弁当、ペンケース。さらに爪切りや絆創膏、おやつまで入っているそうです。
まるで「部屋が歩いているようだ」と、周囲の生徒からも話題になるほどですが、彼女にとってはすべてが必要なもの。
「もしもの時に備えたい」という思いが、その一つひとつに込められています。
最近は、効率化やミニマルが良しとされる時代です。
しかしHさんは、自分が落ち着いて過ごせる方法として、好んでこのスタイルを選んでいます。
「全部ここに入っていれば安心なんです。持っていれば、何があっても大丈夫だから」
荷物を軽くする努力はしていません。
それは頑張らないということではなく、自分の安心の形を理解しているということ。
不安を感じやすい時代の中で、自分なりの方法で心の安定を保っている姿勢に、強さを感じました。
何十キロもある重たいのリュックを毎日背負って通うことは、決して楽なことではありません。
それでもHさんは、そこに苦労よりも安心を見出しています。
その姿を見ていると「自分を守る力」とは何かを改めて考えさせられます。
人それぞれに安心の形があり、それを大切にすることもまた成長の一つです。
Hさんの姿からは、自分らしさを尊重しながら日々を過ごす強さが伝わってきます。
私たちはつい「もっと効率よく」「もっと軽く」と助言したくなることがあります。
しかし、彼女のように自分なりの理由を持ち、自分のペースで行動している生徒の姿を見ていて、生徒を理解するとは、生徒の正解を一緒に探すことなのだと感じました。
安心を背負って歩くHさん。
その背中には、これからの時代を生きるうえで大切な「自分を大切にする力」が詰まっているように思います。
日々の学校生活の中には、目に見える努力だけでなく「安心を保つための工夫」も存在します。
それぞれの生徒が自分なりの方法で心を整えながら学んでいることを私たちも大切に見守っていきたいと思います。
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