おおぞら教育情報ガイド

無償化という漢字三文字が電卓とノートの隣に並んでいる写真
2026年2月27日の改正法案の閣議決定により、2026年4月から私立高校の実質的な授業料無償化が決まりました。現在私立高校に通っている生徒や保護者をはじめ、高校受験を控えている生徒や保護者にとってはとても気になるトピックです。

そこで本記事では、私立高校授業料無償化の概要や考えられるメリット・デメリットについて解説します。私立高校授業料無償化における、全日制高校と通信制高校の制度の違いや、地域差による制度の特徴についてもご紹介します。

私立高校授業料無償化ってどんな内容?

はじめに、私立高校授業料無償化の概要について解説します。

▶正式名称は「高等学校等就学支援金制度」
一般的には「私立高校無償化」といわれている制度ですが、正式名称は「高等学校等就学支援金制度」といいます。高校における授業料の一部または全額を返還不要とする給付金を活用し、家庭の経済状況に関わらず、子どもたちが学びたい学校を選べる社会の実現を目指す国の制度です。

この制度は、2010年より段階的に導入されてきましたが、2026年度に大幅な拡充が開始され、公立・私立を問わず全ての高校生等のいる世帯が授業料の支援対象になります。そのため、いわゆる「私立高校無償化」と呼ばれるようになったのです。

▶新制度は2026年4月から適用
高等学校等就学支援金制度の拡充は、2026年4月からスタートします。公立・私立を問わず全ての高校生等のいる世帯が一定額の授業料支援を受けられるようになるので、実質的な私立高校の授業料無償化が期待されるでしょう。

▶2025年度の制度との比較
2026年度の高等学校等就学支援金制度の大幅な拡充を前に、2025年度には以下のような過渡期措置が行われていました。

・所得制限を一部撤廃し、全世帯に対して年11万8,800円を支給
・公立高校は全世帯で授業料の実質無償化
・私立高校の加算額(最大39万6,000円)は、年収約590万円未満の世帯を対象

上記の措置から、2026年度は所得制限を撤廃し、支給上限額も引き上げられました。それにより、立・私立を問わず全ての高等学校等に在学している生徒がいる世帯が制度の対象になったことが分かります。

私立高校授業料無償化によるメリット・デメリットとは

次に、私立高校授業料無償化によって考えられるメリット・デメリットについて解説します。良い点・懸念される点を理解することで、高校進学における選択肢が増えるでしょう。

▶【メリット】経済的負担が軽減される
公立・私立を問わず、授業料の実質的な無償化が実現することで、各家庭の教育における経済的負担が大幅に軽減されます。そのため、経済的な事情で私立高校を諦めていたご家庭でも、私立高校への進学が可能です。

▶【メリット】多彩な教育が受けられる
私立高校は、公立高校と比較して教育の自由度が高く、独自のカリキュラムや魅力的な学科(コース)が用意されている傾向があります。例えば、全教科英語で授業を行う「外国語コース」や、美術の授業が多い「芸術コース」などです。

そのため、生徒の個性や能力に合った教育を受けることができ、将来の可能性を広げやすくなります。部活動も珍しい内容や強豪チームが多く、アーティストやスポーツ選手として世界に羽ばたいていく生徒もいるでしょう。

▶【メリット】教育全体の質が向上する
私立高校への進学が増え、学校同士が競合し合うことで、より質の高い教育が期待されます。高校独自の特色や教育の多様化が進めば、教育全体の質が向上し、生徒にとっても選択肢が多くなるでしょう。

▶【メリット】国際基準に沿った制度になる
日本は、1979年に国際人権規約を承認しました。この規約には「あらゆる形態の中等教育を、すべての適切な方法により、特に無償教育の漸新的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して開放されたものとすること」と定められています。

つまり、高校などで行われる中等教育は誰でも受けられ、段階的に無償化することを1979年に承諾していたということです。やや時間はかかりましたが、2026年度の取り組みによって、この国際基準に沿った制度が整備されたといえます。

▶【デメリット】支援対象は授業料のみ
一般的に「私立高校無償化」といわれているこの制度ですが、支援対象は授業料のみです。例えば、入学金や施設費、教材費、後援会費などは自己負担になります。授業料が実質無償化されても、私立高校では年間約50万円ほどの諸費用が発生すると予想されるため、注意が必要です。

▶【デメリット】外国籍の生徒は対応が異なる
高校には外国籍の生徒も通っています。特に、私立高校では積極的に留学生などを受け入れている場合も多いでしょう。

しかし、2026年度からは支援範囲の明確化が進み、外国籍の生徒に対して新たな基準が導入されます。例えば、留資格が「留学」の生徒や、永住が見込まれない短期滞在の生徒は支援の対象外です。ただし、現在在学中の外国籍の生徒には、卒業まで従来の制度が適用されるなどの措置があります。

▶【デメリット】公立高校の需要低下が予想される
これまで、公立高校は「教育費の安さ」が大きなメリットになっていました。もちろん、メリットはそれだけではありませんが、私立高校の授業料無償化によって公立高校を希望する生徒の減少は避けられないでしょう。

公立高校だけが不人気になると、公立高校のレベルが低下する恐れがあります。公立高校は「地域の教育拠点」としても重要な組織なので、地域全体の教育水準の低下にも繋がるかもしれません。

私立高校授業料無償化は通信制高校も対象?全日制との違い

私立高校授業料無償化は、通信制高校なども対象になるのでしょうか?全日制との違いを確認していきましょう。

▶通信制高校も授業料無償化の対象になる!
結論からいうと、通信制高校も全日制と同様に私立高校授業料無償化の対象になります。就学支援金制度の対象となる学校は以下の通りです。

・高等学校(全日制・定時制・通信制を含む)
・中等教育学校の後期課程
・特別支援学校の高等部
・高等専門学校の1~3年生
・専修学校の高等課程・一般課程
・各種学校のうち、国家資格者養成課程を置く学校
・海上技術学校

▶支給上限額は全日制と異なる
通信制の私立高校に通う場合、全日制の私立高校とは支給上限額が異なります。具体的には、私立全日制高校の支給上限額は45万7千円なのに対し、私立通信制高校の支給上限額は33万7千円です。

通信制の私立高校も支援が手厚く、自身に合った通学日数や学習スタイルで質の高い教育を受けられるでしょう。学校の種類や課程によって支給される上限額は異なりますが、実質的に授業料が無償化になる支給額が設定されています。

都道府県による違いはある?主な地域の特徴とは

私立高校授業料無償化は、それぞれの都道府県にどのような影響を与えるのでしょうか?地域によって異なる私立高校授業料無償化の実態を考えていきます。

24482990_s.jpg

▶都市部では私立志向が高まる可能性
都市部には、もともと私立高校の数が多いので、授業料無償化により私立志向が高まる可能性があります。通学圏内に私立高校が複数あれば、進学実績や教育の特色を十分に把握した上で、希望する学校を選べるでしょう。

▶地方では私立高校を選べるかがカギに
地方には私立高校の数が少なく、「そもそも通える範囲に私立高校がない」場合もあります。都市部と比較して教育機会の差が目立ち、就学支援金制度を上手く活用できない地域が出てくるかもしれません

このような状況は、若者の県外流出を促す恐れもあります。より整備された私立高校を目指して都会に出ていく生徒が増えれば、地域の過疎化が進んでしまいます。

一方、私立高校の授業料無償化に伴い、地方に私立高校が増設されることも期待できるでしょう。公立高校の需要低下という課題と向き合いながら、子どもたちがより良い教育を受けられる環境が目指されます。

▶自治体独自の支援制度が拡充
都道府県によっては、自治体独自の支援制度が整備されています。例えば、東京都では、就学支援金と自治体の授業料軽減助成金を合わせ、最大50万1,000円の範囲内で助成を行っています。令和8年度より、都内私立高等学校の平均授業料にあわせて、授業料軽減助成金の上限が変わりました。

また、愛知県では、2026年度の予算案として、全日制の高等学校の授業料を45万7,200円まで、そして入学納付金を20万円まで補助することを発表しています。

このように、国の制度だけではなく、地域の実態に応じた政策でより良い教育が目指されています。自治体独自の支援は年度や住所、対象校、申請条件によって異なりますが、ぜひご家庭の地域にある制度を確認してみてください


いかがでしたか?
実際に高校進学に必要な費用は学校やお住いの地域によっても変わってきます。
今回ご紹介した内容を参考にしていただきつつ、具体的な金額や制度の利用方法についてはご自身で情報を集めながら、比較・検討していただけたらと思います。

おおぞら高校でも、特に個別相談の場で学費についてや就学支援金制度についての質問・ご相談を多くいただきます
「ご家庭・お子さんの状況に合わせてどんな通い方ができるか相談したい」という方はぜひ個別相談にご参加ください。



まるわかりまとめ資料ダウンロード/
通信制高校とサポート校の関係について
まずは簡単に把握したい方はこちら↓